合気道開祖 植芝盛平翁のお言葉

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2020年01月3日

合気道開祖 植芝盛平翁のお言葉

 
 合気道の極意は、己れの邪気をはらい、己れを宇宙の動きと調和させ、己れを宇宙そのものと一致させることにある。合気道の極意を会得した者は、宇宙がその腹中にあり、「我はすなわち宇宙」なのである。そこには速いとか、遅いとかいう、時間の長さが存在しないのである。この時間を超越した速さを、正勝(まさかつ)、吾勝(あがつ)、勝早日(かつはやひ)という。正勝、吾勝、勝早日とは、宇宙の永遠の生命と同化することである。
 では、いかにしたら、己れの邪気をはらい、心を清くして、宇宙森羅万象の活動と調和することができるであろうか。それには、まず宇宙の心を、己れの心とすることだ。宇宙の心とは何か? これは上下四方、古往今来(こおうこんらい)、宇宙のすみずみにまで及ぶ偉大なる「愛」である。
 愛は争わない。愛には敵はない。何ものかを敵とし、何ものかと争う心はすでに宇宙の心ではないのである。宇宙の心と一致しない人間は、宇宙の動きと調和できない。宇宙の動きと調和できない人間の武は、破壊の武であって真の武ではない。真の武道には敵はない、真の武道とは愛の働きである。それは、殺し争うことでなく、すべてを生かし育てる、生成化育の働きである。愛とはすべての守り本尊であり、愛なくばすべては成り立たない。合気の道こそ愛の現われなのである。だから武技を争って勝ったり、負けたりするのは真の武ではない。
 真の武は、正勝、吾勝、勝早日であるから、いかなる場合にも絶対不敗である。すなわち、絶対不敗とは、絶対に何ものとも争わぬことである。勝つとは己れの心の中の「争う心」に打ち勝つことである。己れに与えられた使命を成しとげることである。
(出典)「合気神髄 合気道開祖・植芝盛平語録」、柏樹社、1990年、P34-35

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